前回は株式投資と投資信託、
インデックスファンドとアクティブファンドの違い
について話しました。
今回は、
なぜ、アメリカではインデックスファンドが主流なのに、
日本では売れ筋トップ10全てがアクティブファンドであるのか、
もう少し深堀りしていきましょう。
なぜ人気?アクディブファンドの謎
日本人に大人気のアクティブファンド
一番印象的なものは、
「グローバル・ソリブン・オープン(毎月決算型)」
(略してグロソブ)
です。
世界中の先進国の債券を組み合わせた
(いわゆる先進国債券)投資商品です。
これ、爆発的な人気を呼んだ、
まさに一世を風靡したと言っていい一品です。
ピーク時の純資産残高
(商品がどれだけ買われているかという額)は
驚異の「5兆7000億円」!
一般的なインデックスファンドは、
人気商品でさえも
せいぜい数百億円ですし、
今、若者に人気絶頂のあの「ひふみシリーズ」ですら、
8000億円です。
これらと比べると、
度肝を抜かれるような規模であったのがよくわかるでしょう。
なぜそんなに売れたのでしょうか?
その訳とは、この商品が
今となっては悪名高き「毎月分配型」であったためです。
毎月、お小遣いのように分配金が出る商品だったため、
退職金をもった引退世代が、
年金の足し代わりにこぞって買いに走ったのです。
というより、
退職金というネギをしょった
投資素人のリタイヤ顧客が、
出典:ポケモンオフィシャルサイト
なんの予備知識もなく、
金融機関の窓口相談に行ってみたら
勧められた商品が、
これだったよ~という典型例です。
これに対しては、
ヤマゲン先生こと山崎元さんが鉄拳制裁しています。
「(毎月分配の外国債券ファンドは)
投資対象として考慮の対象にしたいレベルの商品など一つもない。
運用のことがよくわからない高齢者などを相手に、
こうした商品はよく売れているようだが、筆者は『即座の解約』を勧める」
(『超簡単 お金の運用術』より)
いえ、鉄拳制裁しているのは、山崎さんだけではありません。
なんと、金融庁までもがついにダメ出しをしたのです!
【特別分配金】はウソ・大げさ・紛らわしい!?
では、この商品のなにがいけないのでしょうか。
それは、分配金の中に、
【特別分配金】が含まれているからです。
そもそも、分配金とは何でしょう。
分配金はこれらで構成されています。
・ファンドの値上がり益
・配当金
・利金
・為替差益など
前回⇒今回までの決算日までの運用期間中に、
これらの収益の一部が受益者に支払われるのが分配金です。
まあ、
ざっくり銀行預金の利息とニアイコールの関係だと思ってください。
分配金には
【普通分配金】と【特別分配金】の2種類があります。
先ほど説明した
「利益の一部を還元する形で支払われる」のが普通分配金です。
では、特別分配金は、
特別というからには、
分配金のボーナス的♪なものなのでしょうか。
いいえ、違います!
特別分配金の正体とは?
特別分配金とは、銀行預金でいえば、こんな感じです。
1/1 お預かり金 100円
2/1 お利息10円 お預かり金 105円
おや?何かヘンじゃないですか?
普通、
利息10円なら残高が110円になるはずですよね?
じつは、このお利息(分配金)、
本当の利息(普通分配金)は5円で、
残りの5円は
なんと元本から抜き取ったものだったのです!
そんなん、あり!?
(ありなんです)
これが、特別分配金、
別名【元金払戻金】の正体だったのです。
(【元本払戻金】の名称を普及させたい!という
本がありましたが、普及・・・全然してません・・・)
まさに、
「自分のお金をただ返してもらっているだけなのに、
利息みたいに見せかけ大作戦っ」!!
いやー。こんな商品、あるんですね。
そりゃ、金融庁もダメ出しするはずです。
金融庁のつみたてNISAのガイドブックにはハッキリ書かれてます。
「『毎月分配型』は長期の運用にはむいていません」
(ここまではっきり言うくらいなら、類友商品である
保険会社の「〇年間健康だったら、お祝い金」
という保険商品にもダメ出ししてもらいたいですね…。)
それでも、某新聞のリタイヤ向けマネー運用コラムには、
ファイナンシャルプランナーが堂々とこれらの商品を勧めていました。
「いろいろ批判を浴びている毎月分配投信だが、
まとまった大金である退職金を
上手く使いこなせない高齢者は大勢いる。これをかつての給料のように
毎月ちょっとずつ払い出してもらうことで、
計画的かつ健全な家計管理が可能となる。こういった場合は、毎月分配型投信を選ぶといいだろう」
岡村聡さんはこう述べています。
「しかし、元本を取り崩して配当に回しているような商品を、
高いコスト(注:ここが一番の問題点)で購入するくらいであれば、普通預金を自分で取り崩したほうがまだましです。」
(『海外投資「超」入門』より)
日本人で投資信託を購入している顧客のほとんどは、
退職金を持ったリタイヤ世代です。
そのため、
これから長期的に資産を形成していこうという
私たち現役世代と投資スタイルが異なるのは
仕方のないことなのかもしれません。
しかし、そういう事情を差し引いても、
これらのアクティブファンドの商品は、
手数料が破格に高く、とても運用していくためのものとは言えません。
(ヤマゲン先生は、最近は堂々と
「長期でもダメな投資は短期でもダメ」と
言っています)
アメリカの後を追うように、
そして金融庁に背中を押してもらいながら、
私たち現役世代は、
低コストでのインデックスファンド運用の時代の到来を感じています。
次回は、有名なインデックス投資の教科書を紹介します。
お楽しみに!