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【第17回】誰でも豊かで幸福になれる方法を説く本多静六

リベラルアーツ

今回からは、
シリーズで戦前の大富豪本多静六
に焦点を当てながら

お金とは?
ということについて考えていこうと思います。
参考図書はこちら⇓

『私の財産告白』本多静六(著) 実業之日本社文庫

 

初回でも申し上げたように、
本コラムはファイナンシャルの専門家ではない私が
皆さんと共にマネーや投資について考えていく
「勉強会」スタンスをとっています。

 

ぜひ、私の意見も聞きながら、
皆さんなりの思考を深めていって下されば
とても嬉しいです。

 

まず、本多静六とは何者や?

本多静六

出典:Wikipedia

本多静六は、
1866(慶応2年)~1952(昭和27)年
(85歳逝去)の
戦前日本を代表する大富豪です。

この方のどこがスゴイか、
ランキング形式で発表しましょう。

 

第3位:貴族・華族・財閥出身ではない貧困農民出身。

本多静六記念館「本多静六記念館」
出典:久喜市ホームページ

これはぶったまげたことです。

今と違い完全な階級社会の当時の日本において、
まるでアメリカンドリームさながらの一発逆転は、
稀にみる存在であったことが分かります

 

第2位:経歴が偉大過ぎるが、社長ではないところ。

 

普通、
大富豪=王族・社長
のイメージがありますが、

彼は社長ではありませんでした。

 

しかし、その業績は度肝を抜かれます。

日比谷公園・明治神宮など
名だたる名所の設計改良にあたり、

また、
東京・内務・文部・農林・鉄道などの嘱託顧問
関東大震災後の復興院参与
各種協会の会長・副会長といった名誉職

その業績・功績は計り知れない
その道の第一人者です。

本多博士生誕150年展出典:PARKFUL

つまり、単に金持ちだったわけではなく、
広く社会に貢献した人物なのです。

 

第1位:職業が、学者だったこと

本多博士の森

「本多博士の森」
出典:久喜市

何がスゴイって、
この人が学者さん(林学博士)
だったことです。

今でもその気配がありますが、
当時、学者が金儲けを考えることは
タブーでした。

「なんだこいつは!?
神聖な学問をする人間が
金儲けなどと汚いことを考えて、けしからん!!」

という大バッシング
を浴びながらも巨万の富をこしらえた
というのは、並みの精神ではできないことでした。

 

本多が貧乏脱出を決意した理由

日比谷公園jpg「日比谷公園」
出典:日比谷公園

では、どのようにして、
貧乏農民出身の本田が
そこから這い上がる決心をしたのか、
探っていきましょう。

 

本多の少年期から青年期は、
苦難の連続です。

11歳で父を亡くし、
百姓や米挽きで苦学します。

そして、19歳で東京山林学校に入学するも、
第一期試験に落第し、
なんと古井戸に投身自殺を図ります!!

 

しかし、死にきれず、
ここで思い切って奮起し、

がむしゃらに勉強をして首席卒業します!

この辺の起死回生、
スゴイですねー。

とにかく、ド根性が身を助けたと、
晩年の本多も述懐しています。

 

その後、
ドイツに私費留学(お金の出どころは?(笑))し、
博士号取得。

帰国し、
東京農科大学(東大農学部)助教授
に任命されたのが、

明治25年、25歳の時です。

 

この帰国の途につく前、
ミュンヘン大学のブレンタノ教授が
はなむけの言葉を残したそうです。

ブレンターノ教授

「ルヨ・ブレンターノ教授」
出典:Wikipedia

 

「お前もよく勉強するが、
今までのような貧乏生活を続けていては
仕方がない。

いかに学者でも

まず優に生活できるだけの財産

こしらえなければ駄目だ」

 

そして、この経済学教授自らそれを実践し、
当時40代であったにもかかわらず、
数百万円の資産家になっていて、
この有言実行の態度に本多は感化された、と述べています。

明治後期・大正の貨幣換算、覚えてますか?
ここで役に立ちましたね!

と、ここでちょっとストップ!

皆さんには、本コラム9回~10回で、

明治・大正の貨幣換算のコツ
話したかと思います。

覚えていますか?

 

そう、「〇円」⇒「〇万円」
にするのでしたよね。

となると、
ブレンタノ教授の資産額は、え~っと、

な、なんと・・・

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数百万円×1000
=数百億円!!

 

すごっ!!

そりゃあ、25歳の本多青年も納得するはずです。

 

日本人には、
「武士は食わねど高楊枝」的なところがあって、

学者は清貧で、
歯を食いしばって研究する者であり、

研究しながら金儲けもバンバンやって、
自由に豊かに暮らす♪などということに
快く歓迎できない風土が少なからずあります。

 

その点、

「研究を制限されないためにも
生活に困らない経済は必要」

だと合理的に解く西洋人に、私はとても肯定的です。

 

やはりマインドセットが必要だった

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そして、25歳で所帯を持ち、
助教授となった
本多青年は決心します。

 

「貧乏を克服するためには
まず貧乏をこちらから進んで
「やっつけ」
なければならぬと考えた。

貧乏に強いられてやむを得ず生活を
「つめる」
のではなく、

自発的・積極的
勤倹貯蓄を努めて、
逆に貧乏圧倒するのでなければならぬ」

 

このマインドセット、
素晴らしいですね。

仕方なく節約生活を
イヤイヤするのではなく、

貧乏撃退のための修行ととらえて、
積極的に勝ちに行こう!
というポジティブな姿勢、

これこそが、
貧乏脱出の一番のポイント
だと私は強く思います。

 

どうして私が強く思うのか、
それは貧困に陥った時に、
襲い掛かるあるワナが、
貧乏脱出を阻んでいるからだと、
行動経済学が考えているからです。

 

貧乏になった時、
「お金がない」こと以上
困難なこととは、一体なにか??

 

次回、お楽しみに!

 

投稿者について

マネーリテラシーアドバイザー・薬剤師EMIKO
薬剤師。薬局・病院などを勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。2005年、中村芳子『20代の今、やっておくべきお金のこと』を読み、ファイナンシャルの世界に入門。2014年より米国ETFを中心とした海外投資で運用中。損得に一喜一憂しない「行動ファイナンスを前提としたインデックス海外投資」を提案する。趣味は古今東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の研究。新聞の文芸欄掲載多数。

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