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【第22回】本多式投資法を読み解く

リベラルアーツ

シリーズで戦前の大富豪本多静六の著書

『私の財産告白』

に焦点を当てながら
お金とは?ということについて考えています。

 

最終回の今回は、いよいよ本多式投資法
迫っていきましょう。

読者の皆さんは、
EMIKO式明治~大正の貨幣換算法を知ってますから、
具体的にイメージすることができますね。

本多はこうして億万長者になった

お金持ち

本多は、第17回目で紹介した恩師ブレンタノ教授の助言の元、
日本鉄道株(上野~青森)を30株購入
します。

1株12円50銭×30株=375円
(現在の約375万円ですね。)

 

ちょっとした大金ではありますが、
毎月14円を貯蓄していた本多は、
およそ3年でこの種銭を作ることが出来たと思われます。

(ちなみに、当時の銀行預金の利率が4%らしいので、
3年未満で達成したと考えられます)

 

これが当たって、300株に化けた時に政府買い上げとなります。
(おそらく私鉄から国鉄になったという意味)

年10%!という配当ももらっていたので、
37,500円+αの財産を一気に手にすることになりました。

 

ギョ!
現代の3億7500万円!になったということです。

昨今でいうと、1ビットコインが1万円そこそこの時代に
300万円分購入して1ビットコイン100万円になった時に売って
3億円の「億り人」になった、という感じでしょうか。

 

そして、本多が一番財を成したのは、山林投資です。

本多博士の森

林学博士である本多は、
秩父の山々を投資の見込みありと思い、
1町歩(ちょうぶ)4円と、
当時タダ同然の山を片っ端から買い入れていきます。

その数、8,000町歩。

1町≒1ha(ヘクタール)ですから、8000haですね。

それを嗅ぎつけた
三井・三菱などの財閥も後を追いますが、
時すでに遅し。

8000haの土地を、
現在の3億2000万円で購入することに成功したのです。

それを、日露戦争特需で暴騰した山を、
1町歩280円で売ります。何と買値の70倍

そしてついに、
年収28万円(今の年収28億円)のビリオネラとなったのです!

 

いやー、スゴイですね。

でも、正直私、
この投資法は今に通用しないなあ、
と思いました。

なにせ、ブレンタノ教授に教えてもらった株を買い、
自分の専門分野の山林に投資する。

うーん、これって、今でいったら、
ちょいとグレーゾーン的なニオイがしなくもありません。

 これが本多の投資法だ!

チャート

ただ、本多の投資姿勢は、
今でも参考になるところがあると思います。

まず一つが、株の売却チャンスです。

本多はこれを
「二割利食い、十割半分手放し」
として紹介しています。

 

①二割利食い法

当時、銀行預金の利率が4%に対し、
堅実な株の利回りが8%だったそうです。

そこで、本多は購入した株が120%になった時点で、
スッパリ全部売って銀行預金に戻しました

この当時、20%の株上昇は
「まだまだ上昇するぞ」
という感覚なのでしょう。

それを潔く全部売ってしまうのは、
勇気がいることだったと思います。

ただ、本多は、

「もともと銀行預金に預けてたと思えば、
20%の利息は上等だ」

という考えでした。
これも懐に余裕があるから出る考えですね。

 

②十割半分手放し

これは簡単です。

単に、100円で100株、1万円
で購入した株が、
倍の200円に値上がりしたら、
50株売って1万円もらっときましょう、
という方法です。

そうすれば、もう後の残りの50株はいわば

「タダ♪」
でもらった、ということになりますから、
値上がりしようが、値下がりしようが、
枕を高くして眠ることが出来るという訳です。

 

ただし、
これには相当の忍耐と駆け引きが必要です。
なぜなら、先ほどの「二割利食い」をしない、
ということなのですからね。
ある意味、これは①に矛盾した投資法なのです。

 

例えば、
2012年頃は日経平均が8000円台でしたから、
アベノミクスで16000円になった頃に半分売っておけばよかった
という理屈ですが、
しかし、実際アベノミクスが始まった頃、
日経平均が10,000円の大台に乗った頃に、
多くの含み損を抱えていた個人投資家は
ここぞと一気に売りに走りました。

その後、あれよ、という間にうなぎのぼりに日経平均が上昇し、
20,000円の大台まで辛抱強く待つことが出来き、
アベノミクスの恩恵を十分に預かれた投資家は、
ごくごく一部だったのです。

これを、本多はこう述べます。

 

「何事にも「時節を待つ」ということだ。
焦らず、怠らず、時の来るを待つということだ。
投資成功には特にこのことが必要である。」

 

本多の投資は、本当に堅実です。

明治時代のこの当時

「証拠金売買(取引)の投機が盛んで、
実力不相応な思惑でやって、大金を掴んでも
たちまち失敗して悲惨な境遇に陥る人が多かった」

とのこと。
今でも、日本人にはこの気がありますね。

仕事ぶりはとても堅実なのに、
ことお金の投資となると
気分がいつの間にかギャンブラーになって
一か八かに挑んでしまう。
(世界のギャンブル機の3分の1は、日本にあるそうです)

 

その中にあって、本多は株の買い付けこそ
取引が容易な信用(取引)にしますが、
いつも全額の買受金を用意して、
いつでも支払いができる体制にしていました。

他の大多数と異なり、
本多の株投資が失敗しなかった理由は、
ここにあります。

 シリーズ最終回 まとめ

自己啓発

さて、長かったこのシリーズも、
いよいよラストを迎えました。

貧困出身で、
一時は投身自殺まで図った本多がここまで財を成したのは、

①肝っ玉奥さんの剛健な貯蓄

②ややグレーゾーンの投資

③しかし、それをあぶく銭にせず、
自分の確固たる哲学で着実に殖やしていく
本多の投資姿勢

という3本立てだということが、
この連載でお分かりになったかと思います。

そして、何より「トンネリング」マインドの脱出こそが、
お金を作る原動力であることも、ご紹介しました。

本多は言います。

本多静六

「投資戦に必ず勝利を収めようと思う人は、
何時も、静かに景気の循環を洞察して、

好景気時代には倹約貯蓄を、

不景気時代には思い切った投資を、

時機を逸せず巧みに繰り返すよう
私はおすすめする。」

皆が好景気に浮かれているときに、
(奥さんが)貯蓄し、
不景気で皆が絶望のどん底にいるときに、
思い切りお金を使う。
(注:キャッシュポジションが大切)

 

大衆マインドの、常に反対をいけ!という
あまのじゃく的な本多の本質論でした。

投稿者について

マネーリテラシーアドバイザー・薬剤師EMIKO
薬剤師。薬局・病院などを勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。2005年、中村芳子『20代の今、やっておくべきお金のこと』を読み、ファイナンシャルの世界に入門。2014年より米国ETFを中心とした海外投資で運用中。損得に一喜一憂しない「行動ファイナンスを前提としたインデックス海外投資」を提案する。趣味は古今東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の研究。新聞の文芸欄掲載多数。

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