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大正時代の家計簿から分かること その①

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リベラルアーツ360

主婦向け雑誌の『主婦の友』は、
今から10年前の平成20年6月に休刊し、
創刊から90年という長い歴史の幕を閉じました。

その時の付録が、
大正6年3月の創刊第1号復刻ダイジェスト版です。

今回は、その記事の中の家計簿発表から、当時の経済状況を読み解きます。

 これは教養コラムでもあります

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…と、その前に、教養コラムらしく、この時代背景を少しお話ししましょう。

主婦向け雑誌『主婦の友』は、
平成5年以降、いわゆる生活雑誌として
一般家庭である年収400~500万あたりを対象につくられていましたが、

創刊当時はアッパーミドル世帯
(今でいう年収1000万あたりでしょうか)
を読者層としていました。

なぜでしょうか。

それは、そもそも、
「主婦」
という言葉が今と昔では意味合いが違うからです。

「主婦」と、今聞くと、庶民のイメージでしかありませんよね。
「主婦」は、今も昔も中流家庭の奥さんを意味します。

しかし、この
「中流家庭」がくせ者!
なのです。

20世紀初頭の「中流家庭」というのは、
「医者」「弁護士」「大学教授」などで、
下女や下僕が数人いる家庭を指すのです。

中流家庭の家

これは、東洋の日本に限らず、この時代の西洋社会もそうです。

じゃあ、「上流家庭」は?と思うでしょう。

そうです。上流家庭≒上流階級、
つまり、貴族、鉱山王、投資王、などの
「不労所得者」を意味するのです。

王宮

(家で比べると、中流と上流の違いがよくわかりますね)

ですから、働いている家庭は、
今の感覚で「金持ち」でも「中流」
なんですね。

 

そのため、
我々の世界の「中流家庭」を想像してこの時代の文学作品を読むと、
えらいことになります。

高校時代、現国がニガテだったという人は、
この辺の事情を知らないのにも理由があると私は思います。

う~ん、まさに、教養コラム、ですね!

 超簡単!当時の貨幣換算の方法

なお、当時の貨幣価値ですが、
私が学生の頃からやっていた貨幣換算のコツを教えましょう。

「〇圓(円)」⇒「〇万円」
「×銭」⇒「×百円」

明治後期~大正時代の文学作品などは、これで結構いけます。

(例)
『主婦の友』創刊号15銭⇒1500円
漱石が「娘のために」と鏡子夫人にイヤイヤ買わされたピアノ
80円⇒80万円

これが学術的に正しいのか、私は専門家ではないのでわかりませんが、
(例)を見ると、読者の皆さんも納得してもらえると思います。

 (神戸)ゆき子さんの家計簿

DSC04549

(著者撮影)

【共稼ぎで月収33円】

彼女は結婚1年の新婚さんで、まだ子供はいません。
ご主人は某役所の職員で、月収は23円です。

ゆき子さんは某会社の事務員になり、
月収10円を支給されています。

合計33円のうち毎月10円
我が家の希望貯金」として貯めています。

お小遣い

ゆき子さんの稼ぎをまるまる貯金して、
ご主人の稼ぎだけで暮らしているということですね。
良い心がけだと思います。

 

『これを実行しはじめてから
漸(ようや)く半年にしかなりませんが、
この貯金のあるために
毎日どれだけ励まされて働いているか知れません。

寒い日も暑い日も、
疲れた時も悲しい時も、
常にこの希望によって勇気を振るい、
日ごと日ごとを元気よく働いています』

ブラボー!

これぞ、貯金の醍醐味ですね。

家計簿を拝見しましょう

日本家屋

彼女の家計簿です。

・賄い・薪炭費(食費・ガス代):9円
・間借り代(家賃):3円
・電燈料(電気代):50銭(5,000円と思いましょう)
・図書費:3円50銭(ご主人の研究費用)
・被服費積立:2円
・雑費(交際費・日用品・化粧料・娯楽費含む):5円

 

現代と大きく違うのは、電話代などの
通信費がないことですね。
交通費もありません。

「住まいは二人とも勤めにでる私共には
大変便利がよろしゅうございます」

とありますから、基本は徒歩なのでしょう。

また、保険や各種年金他、社会保障費もありません

公的な社会保障制度も完備されておらず、
大きな病気やケガなどになったら、
当時は一巻の終わりですから、
希望貯金のありがたみが分かりますね。

 

2ヶ月に1度は、
雑費の中で近くの名所めぐりをするそうです。
唯一のレジャーですね。

 

家計簿を見ても、
非常にシンプルにバランスがよくとれていて、
今でもお手本になるような家計です。

固定費である住宅費を極力減らすことで、

食費
(夫婦二人でガス代入れても今の9万円というのは当時でも多めです。
きっと、神戸の洋食亭などハイカラなレストランで
外食もしているのでしょうね)
や自己投資費である
書籍
に気兼ねなくお金を使っているところが、
こせこせしてなくていいですね。見習いたいです。

 

『日曜の日やら毎日の夜分は、
主人は勉強に勤しみ、私は台所の用が済めば
主人の傍らで針仕事をいたします。

自分たちの着物を縫った合間には、
よそ様の分もいたしますが、
その仕立賃はためておいて盆正月に、
ご恩になったおうちへの贈り物の内に加えております。

(お中元・お歳暮ですね)

こうして夫婦二人とも無病息災で働いておりますのは、
私共にとっての感謝の生活であります。』

 

副業としてお針子もしているちゃっかり者の、
神戸っ子ハイカラさんのゆき子さん想像できますね。

着物姿 ゆき子さん

 

夏目漱石の作品を読むと、当時の庶民の暮らしがよくわかります。

テレビもスマホもなく、機械音のなる家電製品は一切ないこの時代は、
家の中にいると、本当に静かです。

余分なものが何一つなく、暮らし方がとてもシンプルで、
それでも人間的に豊かな文化生活を送っています。

 

大正時代は、アラフォー世代にとって、
祖父母が生まれた世代でしょう。

たった、3世代前の現実味のある世界です。

 

あなたがもし、
「何か最近、お金に振り回されているな」
と感じるとき、
この大正時代のシンプルな暮らし
思い出してもらえたらと思います。

 

次回は、この貨幣感覚を使って、
夏目漱石の文学作品を経済的に読み解いてみます。

お楽しみに!

投稿者について

マネーリテラシーアドバイザー・薬剤師EMIKO
薬剤師。薬局・病院などを勤務後、現在、子育て中のアラフォー主婦。2005年、中村芳子『20代の今、やっておくべきお金のこと』を読み、ファイナンシャルの世界に入門。2014年より米国ETFを中心とした海外投資で運用中。損得に一喜一憂しない「行動ファイナンスを前提としたインデックス海外投資」を提案する。趣味は古今東西の19世紀末~20世紀初頭の文化・様式・芸術の研究。新聞の文芸欄掲載多数。

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